天然酵母

ほのかな酸味が特徴
 自家製酵母を熟成させて作るパン
  『天然酵母』って最近ではよく目や耳にするように思いますが、皆さんは天然酵母って何か知っておられますか?
「普通のパンとは違う特別なパン」と思っておられる方がいるようですが、果たしてそうなのでしょうか?
まず、はじめに天然酵母と普通のイースト菌(生イースト・ドライイースト)の違いを調べて見ましょう。

普通のイースト菌 カビや細菌と同じく単細胞の微生物でパンに用いられるのはサッカロミセス・セレビシェに属する
酵母でその菌だけの状態で機械を使い純粋培養したものです。
天 然 酵 母 さまざまな種類があるのですが、簡単に言うと穀物や果物、野菜等をを使い、穀物などに付着している
菌を小麦粉やライ麦粉を使った生地の中で、パンに必要な菌を少しずつ職人の手で培養させたものです。

フランスではイーストが無かった時代、天然酵母を上手く仕上げる職人こそが店の価値を決めていたのです。
天然酵母の種は職人が自分の技術のすべての力を注ぎ込み作っているため、
種は店の貴重な財産でもあったのです。
普通のイースト菌は純粋培養で短時間培養のため、常に安定した発酵力を得られイーストの香り等は焼き上がった後は気になりません。
しかし、天然酵母の場合は使える状態になるまで種類によって期間は違いますが、 
早くても5日間ほど、長ければ1ヶ月ほどかかり毎日職人が手を加えて菌を培養させます。
このように長い時間がかかり菌に力をあたえる為、自然に乳酸菌なども発生し生地(種)は酸性になります。
ですから、天然酵母を使ったパンは酸味がありすっぱくなるのです。日本の人々には
あまり知られていなかったために好む人が少ないのが現状です。
しかし食べやすくする為に、レーズンやクルミを入れたり、肉類やハム、チーズを入れて販売されています。

       

           天然酵母の種類と採取方、特徴について
  

1・ ルヴァン種
(ルヴァン・ド・ナチュレール)
ライ麦の皮(ふすま)に付着している菌を培養していく方法。
ライ麦と小麦粉を使い、水分を少なめで固めの生地の状態で
種を仕上げていく。フランスではこの製法は生まれ。イースト菌
が世に出回るまでは、この方法でパンは作られていた。

「特徴」                           
  酸味が強く香りも天然酵母らしさを強く感じる。ライ麦には
  ビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれて入る為、健康派の方におすすめ。
                           
『Rauk』ではこのルヴァンによる天然酵母のパンです。
2・ サワー種
(サワー・ドゥ)
ルヴァンと同じでライ麦を培養したものだか、水分が多く
まるでてんぷら液みたいに柔らかい状態の中で仕上げていく。
アメリカで流行っており、サンフランシスコのフィシャーマンズワーフに
あるサワードゥは世界でも有名。

「特徴」 
  酸味が強く天然酵母らしさを強く感じる。ルヴァンを同じく健康派にはお薦め。
3・ ホップス種 サワー種と似ていて製法も同じ。ホップはビールの苦味と
風味をつけるのに用いられるが、イーストが出現するまでは、
食パン種を作る時によく使われていた。
ホップは天然酵母の正常な繁殖を助長する。種の仕込み途中から加え仕上げていく。

「特徴」
  酸味は少しだけあり、酸味よりもビールと同じく苦味やツンとした口当たりが特徴。
4・ レーズン種 レーズンに付着している菌を培養する方法。粉などは使わず
レーズンを水につけ菌が増殖しやすくする為に 糖(砂糖やハチミツ)を加える。
果物ではレーズンが主流だが、他にイチジクやブルーベリー等でも作る事は出来る。

「特徴」
  酸味は少なく、果物らしく口当たりは柔からくくせがほとんどない。
5・ 酒種 菓子パンに用いる種で、米麹を培養し濃縮して用いる。
イーストが普及するまで、明治・大正わが国の菓子パンは 
すべて酒種であった。培養は非常に難しく経験が必要。
風味があんぱんに合う為、現在でも「酒種あんぱん」は珍重されている。


          このように『天然酵母』と一口に言ってもさまざまな種類があり特徴があるのです。
         たとえ同じ種類の種でも、職人一人一人の作り方によって風味が変わり、同じ風味のする種は存在しないと言われるほどです。
         Raukの天然酵母(ルヴァン)はRaukだけしかなく日本中、世界中を回っても同じ風味のパンはないのです。

< ルヴァンナチュレール種の起こし方 >
作業時はイーストやパン生地が触れることないよう器具や手をよく消毒すること。
   
  @
     ライファイン(ライ麦全粒粉)・・・・・・・・300g
     リスドオル(フランスパン専用粉)・・・・300g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
     塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g
     ユーロモルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g

     手捏ね、または小型ミキサーでミキシング
     捏ね上げ温度25℃
     発酵22〜24時間(温度25℃ 湿度75%)

   A
     @の種から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
     リスドオル(フランスパン専用粉)・・・・300g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130g
     塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g
     ユーロモルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g

     ミキシング(捏ね上げ温度25℃)
     発酵22時間(温度25℃ 湿度75%)

   B
     Aの種から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
     リスドオル(フランスパン専用粉)・・・・300g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130g
     塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g

      ミキシング(捏ね上げ温度25℃)
     発酵22時間(温度25℃ 湿度75%)

   C
     Bの種から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
     リスドオル(フランスパン専用粉)・・・・300g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130g
     塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g

     ミキシング(捏ね上げ温度25℃)
     発酵12時間(温度25℃ 湿度75%)

    D
     Cの種から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
     リスドオル(フランスパン専用粉)・・・・300g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130g
     塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g

      ミキシング(捏ね上げ温度25℃)
     発酵12時間(温度25℃ 湿度75%)

   E
     Dの種から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
     リスドオル(フランスパン専用粉)・・・・300g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130g
     塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g

     ミキシング(捏ね上げ温度25℃)
     発酵6〜12時間(温度25℃ 湿度75%)

       *この時点で膨張倍率が4倍くらいでPH4.5前後になるのが望ましい
       最終工程のあと冷蔵で3日程度の保管が可能。
       その時点で種継ぎを行う。

     ルヴァン種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500g
     リスドオル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・570g
     グラハムフラワー・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
     水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・270g

     ミキシング低速8分
     室温で3時間おいた後、冷蔵保管。